シャトルと宇宙ステーション「誤りだった」 ― 2005年10月03日 17:34
そうですかぁ。安全性とコストのバランスから、最適な道をとって欲しかったわけだけど、そもそもが国威発揚とか軍事的優位とかから始まったので、そして巨大システムによる科学へと発展してきたので、どこかでその路線の修正が必要だということか。 でもこれだけの強い調子での否定は、ある種の政治的な意図を感じざるを得ない。交代したばかりの長官だしね。
またシャトルの、全てがあやまりというのではないと思うが ... 具体的な成果物としては、例えばハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げとそのメンテナンスミッションなどは、シャトルならではだと思うのだが。 そして今後も有人宇宙開発を進めるのならば、宇宙ステーションによる中長期の宇宙での実験環境も重要だと思う。
でもこうして巨大システムを見直すことができるアメリカの考え方の柔軟さには、見習うべき点もあるのは事実だろう。 今後はどうやっていくのか、技術的な問題に興味が移る。
【ワシントン和田浩明】米航空宇宙局(NASA)のグリフィン長官が、これまで米国の有人宇宙計画の2本柱だったスペースシャトルと国際宇宙ステーションについて、「誤りだった」と約30年にわたるシャトル計画を事実上否定する発言を していたことが28日分かった。米USAトゥデー紙が報じた。読売ではさらに、
同長官はこれまでも米議会の公聴会で、シャトルについて「深刻な問題がある」と指摘。宇宙ステーションについては完成させるとしつつも費用や危険性、実現困難性を考えると割に合わないとの見解を示していたが、その是非について踏み込んだのは初めて。NASAトップの厳しい発言は、今後の計画に影を落としそうだ。
グリフィン長官の発言は、同紙の編集幹部らのインタビューを受けてのもの。米国が、有人月面探査を行ったアポロ計画を70年代に中断、シャトルと宇宙ステーションに方向転換したことについて「正しくない方向だったことは、今や広く受け入れられている」と説明。2010年までの終了が決まっているシャトル計画が誤りだったかと問われると、「私の意見ではそうだ」と明言し、設計上の問題のため、実現が極めて難しかったと述べた。
日本も参加している宇宙ステーションについても、「私の決定であれば、現在のように軌道上では建設しなかっただろう」と否定的な見方を示した。
NASAは今月19日に、2018年までに再び月に宇宙飛行士を送る計画を発表。運搬には、シャトルの後継機となる有人探査機(CEV)と、月面着陸機を使用する予定だ。
(毎日新聞) - 9月29日14時23分更新
長官は、シャトル機体の設計が「非常に先進的で、どうにか実現可能というものだった」と、安全面などに多くの問題があった点を指摘。機体本体でなく、シャトルの燃料タンクや大型補助ロケットを活用した新宇宙船の開発などで「我々はできるだけ損害のない形で道筋を変えようとしている」と述べた。と今後の方針についても報じており、また ISS についての表現が微妙に違う。シャトルがどの点で失敗と考えられるかについて、毎日は結論だけで理由が読み取れず、読売の方が少し詳しく報じている。
ISSについても「自分ならば、今の場所にISSを建設していなかった」と語り、計画が誤りだったとの見解を示した。
【ワシントン=笹沢教一】(読売新聞) - 9月29日12時20分更新
電磁波の恐怖? ― 2005年10月07日 21:00
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20051007k0000e040085000c.html
ちなみに朝日新聞では, 「磁力線は携帯電話の10分の1程度」とのこと。 X 線の方は, 実は意外と強いとかいう話もあるし, 造血細胞に対する悪影響を懸念することは, 納得できる。通常の診断で用いる X 線撮影だって, 撮影技師はきちんと防護が必要なくらいだしね。 で, 磁力線は本当に悪影響があるのか ? ってのが疑問なわけだ。ゼロリスクの罠に陥ってないか ? と。 頻度からいっても, 金属探知機を回避するコストは低いだろうから, そうしてもいいとは思う。 しかし, 一律に回避するようにとお役所が通達したり, 間違えたからといってニュース種になったり, お詫びしたり, という次元の話じゃないと思うゾ。
ついでに言えば, もしも副作用があったとしても, 移植後にそんなに直ぐに症状が現われるものでもないと思う。その場での「今のところ副作用はない」との病院の発表を伝えておしまいというマスコミの対応もおかしなものだ。
東京都赤十字血液センター臍帯血(さいたいけつ)バンク(東京都渋谷区)が先月、移植のため「さい帯血」を中国地方の病院に搬送中、羽田空港において日本航空(JAL)の地上職員が誤って金属探知機に通していたことが分かった。探知機で発生する磁力線は、X線とともに細胞分裂が盛んなさい帯血への影響が懸念されており、国土交通省は航空各社に対して検査を免除するよう通知している。
JAL広報部は「職員は通知のことは知っていたが、免除するのはX線検査だけだと思い込み、金属探知機のことは念頭になかった。おわび申し上げたい」と話している。
さい帯血は、赤ちゃんのへその緒にあり造血能力が高いため、白血病患者らへの移植医療に使われる。
JAL広報部などによると、事故は9月20日、中国地方の公立病院の医師が入院中の患者に移植するさい帯血、数十ミリリットルを同バンクから受け取り、羽田空港に持ち込んだ際に起きた。医師はJALの空港カウンターでさい帯血を運んでいることを告げ、X線による手荷物検査や磁力線による金属探知機検査を行わないように依頼。しかし、容器を預かった地上職員は、本来避けるはずの金属探知機のゲートをくぐった。
さい帯血が浴びた磁力線の強さは、通常、携帯電話を使用する際に受ける磁力線より小さい程度だった。同病院は「影響は少ない」と判断し、患者の同意の下で移植した。その後、特に副作用などは起きていないという。
国は00年、さい帯血や骨髄液が検査で磁力線やX線を浴びた場合にがん化などの悪影響が懸念されるとの理由で、検査を免除するよう国内の航空会社に通知。骨髄移植推進財団などが発行する証明書を持参すれば検査を免除される。
日本さい帯血バンクネットワークは「たとえ微量でも、移植を待つ患者にとっては不安なはず」としており、国や航空各社に再発防止を申し入れる方針。【山本建】
毎日新聞 2005年10月7日 15時00分
隗より始めよ ― 2005年10月21日 12:30
公立小中学校の校長経験者の年金は中央省庁の次官経験者と同水準——。財務省は20日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、小中学校の教員の給与を一般の地方公務員よりも優遇している制度の見直しを提起した。「「先生の給料 高くない」・文科相が財務省に反論」 http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20051021AT1G2100I21102005.html
全国で約70万人いる公立小中学校の教員の基本給は平均で月39万6000円。都道府県職員(約35万6000円)と比べ11%高い。諸手当を含めた月給ベースだと差は4%だが、退職金や年金は基本給ベースで算定するため、財務省は「優遇措置が生涯続く構造を見直さないといけない」と指摘した。
退職年金の平均支給月額は教員OBで24万3000円。都道府県職員の22万5000円と比べ1割近く高い。財務省の調べでは1941 年生まれの校長経験者(勤続38年)の年金額は26万3000円。同じ年齢の中央省庁の次官経験者(勤続35年、24万6000円)よりも高い。
教員給与の優遇措置は74年施行の人材確保法が根拠。基本給の4%相当額を「教職調整額」として上乗せする仕組みもある。 (21:03)
「学歴や平均年齢の高さを加味すれば先生の給料は高くない」。中山成彬文部科学相は21日の閣議後の記者会見で、財務省が20日の財政制度等審議会で教員給与の優遇措置の見直しを提起したことに反論した。この国では、教師という仕事の価値をどう考えているのだろうか ? わたしたちの将来を作っていく人材の育成に、どのくらいの価値があるというつもりなのだろうか ? 無気力な人が増えているとか、学力の低下とか言われているが、知識に基盤をおく社会・文化自体が荒廃しているとしか思えない。
財務省は公立小中学校の教員の基本給は都道府県職員に比べ平均11%高いと指摘したが、文科相は(1)教員に占める大卒者の割合は88%だが、一般行政職は55%(2)平均年齢も教員の方が高い——と反論。これらを加味し、さらに年収換算して比べると教員給与は一般行政職を4%上回る程度で「優秀な先生を確保するには最低限必要な優位性だ」と述べた。
財務省が「中央省庁の次官経験者を上回る」とした校長経験者の年金の高さについても、「現役時代に払った掛け金が多いから。制度は基本的に正しい」との認識を示した。 (12:06)
その点から、中山文科相はイイコト言ったといえる。ただし、官庁・大臣が、自己の管轄を守る主張をするのは当然とも見られるので、少子化による児童生徒学生数の現象に対する教師たちの自己保身の主張と曲解されないことを願う。
おまけだが、条件をきちんと合わせないで、単純に平均値だけであれこれと議論するなんて、統計の基礎が分かっていないね。これもまた教育の失敗例なのだが、それでもまだ教育の改善に投資しないおつもりか ?
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