学士力(仮称) ― 2007年09月10日 19:42
問われる「学士力」、楽じゃないぞ!大学全入時代安易に単位を付与し、卒業認定しないことには大賛成だが、提案されている項目は、こりゃ「学士」である以前の、ただのふつうのオトナだろ、って。中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の大学分科会小委員会は10日、大学卒業までに学生が最低限身に着けなければならない能力を「学士力(仮称)」と定義し、国として具体的に示す素案をまとめた。
えり好みさえしなければ誰でも大学に入れる「大学全入時代」の到来を控え、「大卒者(学士)」の質を維持する狙いがある。各大学に対しても、安易に学生を卒業させることのないよう、卒業認定試験の実施など、厳格なチェックを求める。
今回の素案に示された「学士力」は、「知識」「技能」「態度」「創造的思考力」の4分野13項目。
「知識」では、専攻分野の基本的な知識の習得だけでなく、社会情勢や歴史とも関連づけて学ぶことを、「技能」では、卒業後の社会生活を送る際に必要な能力として、日本語と特定の外国語で読み、書き、聞き、話す力の習得を求めた。
さらに、各大学に対し、授業ごとの到達目標や成績評価の基準を明確にし、学士力がどれだけ定着したか把握するよう要請。大卒の水準維持のため、学部別や全学的な卒業認定試験を実施することも提案した。
◆「学士力」の主な項目◆
【知識】▽異文化の理解 外国などの文化を理解する▽社会情勢や自然、文化への理解 人類の文化や社会情勢などを理解する
【技能】▽コミュニケーション能力 日本語、特定の外国語で読み、書き、聞き、話すことが出来る▽情報活用力 インターネットなどの多様な情報を適切に使い、活用できる▽論理的思考力 情報や知識を分析、表現できる
【態度】▽チームワーク、リーダーシップ 他者と協力して行動したり、目標実現のために方向性を示せる▽倫理観 自分の良心や社会のルールに従って、行動できる▽生涯学習力 卒業後も自ら学習できる
【創造的思考力】知識、技能、態度を総合的に活用し、問題を解決することができる
(2007年9月10日14時41分 読売新聞)
閑話休題。現職の熊本大学教授がディプロマミルから得た学位を持っていたとの報。文科省で調査するとの話もあった。
学習指導要領の改訂について。武道とかダンスとかの必修って何よ?
政治向きの話では、改造した内閣でもお金の問題で辞職が後を絶たず。これはもう、構造的な問題なのだね、まあ、予想されてはいたけど。
ていうかさ、訂正すればそれでことは済むっていう収支報告書って、なんだかなぁ。訂正されずに受け入れられてきたこれまでの期間に対する責任って、無いのかね.。謝って済むなんて、お手軽な世界だ。
授業時間増 ― 2007年08月31日 16:27
小学校、40年ぶり授業増へ・指導要領改訂素案気になる点がいくつかある.小学校の授業時間が約40年ぶりに増える見通しとなった。学習指導要領の改訂作業を進める中央教育審議会の専門部会は30日、小学校で国語や算数など五教科の授業時間数を約1割増やし、5、6年生では英語の授業を導入する素案を大筋で了承した。基礎学力向上に重点を置き、授業時間数という「量」で学力低下を食い止める。
ゆとり教育の象徴とされる総合的な学習の時間は削減され、ゆとり路線は名実ともに見直される。ただ、教育関係者の間では「ゆとり教育の功罪は総括されていない」との声は根強い。
(2007-08-31, 07:00, Nikkei Net)
- (1) 極端に走りやすい日本人としては, どんどんどんどん増加するのだろうか ?
- (2) 時間を増やしても内容が伴わなくちゃダメでしょ. って, 現状では内容も消化しきれていないってことか ?
- (3) 指導要領は, やっぱりミニマムなのか.
- (4) 教員の労働時間の短縮という側面があり, 週休二日となったと記憶しているが, これで名目労働時間も増加するのか ?
- (5) 教員および教育予算の増額は ?
で, 相変わらず教え方教わり方は暗記中心 ? あつかう知識も, 系統性を度外視した豆知識の集積 ? 成績評価に過度の客観性を求めるために, 測定の容易な知識量だけが問われるようでは, 従来と何も変わらない.
教えてよい知識の上限が決まっていれば, 学習の目的は創造性よりもミスをしないようにという方向に向くので, 勉強することの面白さが無いのではないか. 加えて入試は制限されたフィールドでの競い合いになるのは必然なので, それに勝つ戦略は勉強方法をゆがめる.
現在でも実質の教員の負担が大きいのに, これでは教員を希望する大学生などが減り, すなわち人材の質が低下するのではないか. まず隗より始めよ, あるいは米百俵.
言語力 ― 2007年08月17日 17:24
「言語力」育成、脱「ゆとり」も…中教審が指導要領改定へ「ゆとり教育」から「確かな学力の向上」へと転換したことに対応して、「全教科で言語力の育成」をめざすのだそうだ。まあキャッチフレーズは何でもいいけど、ゆとりが真のゆとりであれば、確かな学力とか言語力とかとは対立する概念じゃないと思うゾ。今年度中に改定が予定される小中高校の学習指導要領について、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)は16日、基本方針を「ゆとり教育」から「確かな学力の向上」に転換した上で、自分の考えを文章や言葉で表現する「言語力」を全教科で育成していく方針を固めた。
国際学力調査で低下していることが明らかになった文章表現力や思考力を向上させる狙いがある。中教審は今後、各教科ごとに言語力の具体的な育成方策をまとめる方針だ。
学習指導要領は、小中高校の授業で行う内容や時間数などを定めた国の基準で、ほぼ10年に1回改定される。現行の指導要領は、学校5日制の完全実施など、学習内容を大幅に削減した「ゆとり教育」が柱で、小中学校は2002年度から、高校は03年度から施行されていた。
しかし、学力低下が指摘されているため、新たな指導要領では、「ゆとり教育」からの脱却を明確に示すことにした。
さらに、「言葉は学力向上のために欠かせない手段」と位置づけ、小学校の低学年から、国語だけでなくすべての教育活動を通じて言語力を育成する必要があると判断した。
例えば、小学校低学年では、体験学習で感じたことを作文にまとめたり、発表したりして、他の人と比べる学習を重視。中学の理科では、予想や仮説を立てた上で実験や観察を行い、結果を論述させる。体育の授業でも、筋道を立てて練習計画や作戦を考え、状況に応じて修正させる訓練を積むことを想定している。
経済協力開発機構(OECD)が2003年に行った国際学習到達度調査(PISA)では、文章表現力や思考力を測る「読解力」の順位が、日本は8位から14位に下落した。
中教審は、こうした力が欠けていることが、人間関係の構築が苦手な子供を増やし、いじめやニートなどの問題の遠因となっていると分析。言語力の習得を通じ、子供のコミュニケーション能力を向上させることも目指したいとしている。
(2007年8月17日3時1分 読売新聞)
教科ごとの具体的な育成方策の段階で、捻じ曲がって変な所に落ち込まなきゃいいんだけどね。 ていうか、もしもそんなことになったら、オトナの言語力の修正が必要だということなのだが(笑)
例示としてあげられているものも、まだ練れていないという感も否めない。 しかし、現場で工夫する余地とかがあれば色々なことができそうではあるが、そんな言語力をもった教師がどれほどいるのかがギモンだし、そもそもそういう余裕が現場にはあまり無いという問題もありそうだ。 また過去に例があったように、学習指導要領が、その通りにやらなくちゃいけないもの、はみ出してはいけないもののように受け取られてしまうと、それはまたオトナの言語力の問題。
語るべき内容すなわち基礎知識に不足し、また語り方というかフォーマットを持たずに、さあ語れと言語力の育成だとやられても、論理を構築するのではなくって印象を垂れ流すだけになってしまいそうだ。 成り行きが注目されます。
学費 ― 2005年11月15日 00:07
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051114-00000025-kyodo-soci
国立大で入学料や授業料の値上げが続いた結果、入学料では国立大の方が私立大より高い“逆転現象”が起きている。充実した施設とともに、国立大の売りだった「安さ」。各大学は「これ以上学生の負担を増やすことがないように」と、国の予算編成を前にさらなる値上げを警戒している。国立大学の学費も随分と高くなったものだ。 このままじゃぁ私立との差がなくなってしまうね。 機械的に順番に値上げしてるもんなぁ。 学費は高くて、設備もボロくて、伝統にも ? とすると、 地方国立大学のメリットって何だ ? ってことになっちゃうよね。
長崎市で7日、開かれた国立大学協会(国大協)の総会。会長の相沢益男東京工業大学長は「入学料の値上げは断固反対だ」と発言した。今春に授業料の基準となる「標準額」が1万5000円引き上げられたため、「次は入学料」という警戒感を国大協として表した。 (共同通信) - 11月14日11時37分更新
勉強のための専門書を買うお金がないとか、学会に出かける旅費(自腹)がないとか、将来に自分に対する投資だという意識の少ない学生さんが多い。 この上、学費もどんどん高額になってくると、バイトして学費を稼ぐのに精一杯で、本業の勉強する時間がなくなっちゃうよね。
そもそも、国民のみなさんは、国立大学に何を求めているのだろうか ? 最近ちょっと疑問に思って悩む日々 ......
隗より始めよ ― 2005年10月21日 12:30
公立小中学校の校長経験者の年金は中央省庁の次官経験者と同水準——。財務省は20日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、小中学校の教員の給与を一般の地方公務員よりも優遇している制度の見直しを提起した。「「先生の給料 高くない」・文科相が財務省に反論」 http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20051021AT1G2100I21102005.html
全国で約70万人いる公立小中学校の教員の基本給は平均で月39万6000円。都道府県職員(約35万6000円)と比べ11%高い。諸手当を含めた月給ベースだと差は4%だが、退職金や年金は基本給ベースで算定するため、財務省は「優遇措置が生涯続く構造を見直さないといけない」と指摘した。
退職年金の平均支給月額は教員OBで24万3000円。都道府県職員の22万5000円と比べ1割近く高い。財務省の調べでは1941 年生まれの校長経験者(勤続38年)の年金額は26万3000円。同じ年齢の中央省庁の次官経験者(勤続35年、24万6000円)よりも高い。
教員給与の優遇措置は74年施行の人材確保法が根拠。基本給の4%相当額を「教職調整額」として上乗せする仕組みもある。 (21:03)
「学歴や平均年齢の高さを加味すれば先生の給料は高くない」。中山成彬文部科学相は21日の閣議後の記者会見で、財務省が20日の財政制度等審議会で教員給与の優遇措置の見直しを提起したことに反論した。この国では、教師という仕事の価値をどう考えているのだろうか ? わたしたちの将来を作っていく人材の育成に、どのくらいの価値があるというつもりなのだろうか ? 無気力な人が増えているとか、学力の低下とか言われているが、知識に基盤をおく社会・文化自体が荒廃しているとしか思えない。
財務省は公立小中学校の教員の基本給は都道府県職員に比べ平均11%高いと指摘したが、文科相は(1)教員に占める大卒者の割合は88%だが、一般行政職は55%(2)平均年齢も教員の方が高い——と反論。これらを加味し、さらに年収換算して比べると教員給与は一般行政職を4%上回る程度で「優秀な先生を確保するには最低限必要な優位性だ」と述べた。
財務省が「中央省庁の次官経験者を上回る」とした校長経験者の年金の高さについても、「現役時代に払った掛け金が多いから。制度は基本的に正しい」との認識を示した。 (12:06)
その点から、中山文科相はイイコト言ったといえる。ただし、官庁・大臣が、自己の管轄を守る主張をするのは当然とも見られるので、少子化による児童生徒学生数の現象に対する教師たちの自己保身の主張と曲解されないことを願う。
おまけだが、条件をきちんと合わせないで、単純に平均値だけであれこれと議論するなんて、統計の基礎が分かっていないね。これもまた教育の失敗例なのだが、それでもまだ教育の改善に投資しないおつもりか ?
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